黙ってないで愚図ってないで

翼くんとタッキーのお話

2017年3月27日 音楽劇『マリウス』 千秋楽

それは幕が開いて直ぐに分かった。何度か足を踏み入れた日生劇場の熱気が特別高かった事に。舞台の千秋楽に来たのは初めてだった。会場には今井さんのファンがたくさんいて、そこかしこで集まる女性を目にした。私は人の名前と顔を覚えるのが苦手であり(努力もしないから最低)、モタモタしているのであの限られた時間で交流する方々がくノ一に見えてしまう。と同時にみんなウキウキしていて素敵だった。演者の皆さんもなんだかはっちゃけていて、笑いの心地よい渦に身を委ねた。マリウスもファニーもセザールもみんなみんな熱が篭っていた。ファニーはブランさんに2回もタックルして「元気よ」と笑っていた。大好きな手裏剣も披露してくれてガッツポーズしたかった。美織ちゃん、可愛いよー!!セザールはアル中が進み、とうちゃん節も健在だった。そしてマリウスに本当にビンタしていた。パニスもちょいちょいアドリブが入り、スキップでファニーに近づき過ぎてマジビビリされていた。あのスキップは可愛い。マリウスがファニーにパニスのプロポーズの真似をしていて可愛かった。ちょっと膝を落として近づく仕草。一幕こそ笑いが多かったけれど二幕はみんな迫真の演技。ダメマリウスのとぅちゃん呼びや、セザールの息子を突き放す言動に引き込まれた。そしてファニーの大きな愛。もうどうして?と苛立つ感情が膨れ上がりそうな程マリウスもファニーも切なかった。ラストを飾るに相応しい舞台だった。私はその空間に入れた事が幸せだった。

 

翼くんの挨拶は、何も考えていなかったと言っていた割にしっかりと全キャスト・スタッフ・監督・松竹・そして今日までいらしてくださった全てのお客様に感謝の気持ちを伝えていた。そこには座頭としてしっかり一座を率いる頼もしい今井さんがいた。あの清々しい表情を見て、なんだかとても安心した。カテコのフラメンコ、ジプシーと踊った後佐藤先生を招き2人で踊ってくれて嬉しかった。そして2人からバトンを引き継いだ美織ちゃんがあのチャーミングな笑顔で楽しそうに踊った。ラストは今井さんと美織ちゃんの息のあった踊り、あのラストは楽しくて嬉しい。〝この舞台を通して果てぬものについて考えさせられた〟といった内容の話を始めた翼くん。〝本当に勿体無い程の有難い舞台に立てて、幸せな仕事が出来た事に感謝している〟と口にする翼くん。客席には勿論の事、キャストの方を向いて礼をする翼くんが彼らしいと感じた。きっとたくさん焦って、もがいて凹んで、でも喰らい付いて学んで自分の中に落とし込み力をつけたんだと思うとその現場を私も体感出来た事に勝手に喜びを感じる。堂々たる風格漂う舞台人、スタオベの拍手を送られる快感を忘れないで次も何処かの劇場に降り立って欲しい。好きな人の舞台を観に行けるなんて、これ程幸せな時間は無い。茶の間で会える余所行きの彼も好きだけど、やっぱり彼のホームは舞台だと思う。着飾って出向き、自分の眼で見て、息づかいを感じ、感動を共有する。その日その時だけの特別な彼。舞台鑑賞程贅沢な時間は無いと思う。ありったけの拍手を送り、マリウスとの別れを受け入れる自分がいた。「またやりたいです!」笑って子どものように叫んだ彼の願いが叶いますようにと祈りながら。

 

そんな余韻に浸ることも無く人生は続いていく。今朝は寝坊して職場から電話が掛かってくるという何とも怖い夢で目が覚めた。〝夕べは本を読んでいたもんで…〟って訳にはいかないんだよー!!